墓参り

墓参りとは何の為にするのだろう??







無宗教の私にはわからない。

そして好きではない。










しかし込み上げてくる胸の痛みと共に何かが訴えている。











ほとんど夜に近い夕方の誰もいない墓場。

辺りには吹き荒ぶ風の声と、虫の音の輪唱。

立ち並ぶ墓群の隙間から夕日が落ちかけ、空をグラデーションに染める。

まるで最後の一瞬、燃え尽きるが如く。










一際新しく、まだ献花もみずみずしい墓の前で、
電車の時間ギリギリまで子供みたいにボロボロ泣いた。


残念ながら声は聞こえてこなかったよ。


やっぱり彼の声は、言葉は胸の中にあって、
互いに夢をポケット一杯に詰め込み、
各駅電車に揺られ東京に出てきた思い出は、
きっと胸の中にあるよ。












たった数時間、トンボ返りの墓参りだったけど、
今の私には十分過ぎるほど十分な旅だった。









こんな気持ち、誰に話せばいいんだろう??

本に描くしかないのか。

私は作家だから・・・・・・・

でもその本を否定されたら私は?

そういう職業を選んだのだから仕方ないのだか、
でも今は・・・・・・・

まだ分からないことだらけだ。