もし
今朝、夜勤の帰り
ボーっとした頭と痛い喉に気をとられながら
フラフラと自転車を走らせていた私。
「グシャァ!!」
聞き慣れない
聞きたくもない
鈍い衝突音に我に返る。
5m程前方にある商店街と甲州街道が交わる交差点には
ビックスクーターが横たわっていた。
少し離れた場所にはヒシャゲタ自転車、
そしてその脇に男性。
男性は動かない・・・・・
集まってくる人々。
怒声とクラクションの聞こえる中、呆然とする私。
近くの交番から駆け付ける警察官。
ただでさえ交通量の多い国道は週末ということもあり、たちまち渋滞。
「何分たったろう?」
えらく長く感じた時間は、おそらく1、2分ぐらいなものなのだろう。
しかし男性の頭部からはみるみる血液が流れ出る。
「長い」
こんなに時間が長く感じたのは久しくない。
遠くで聞こえる救急車のサイレン。
代わりに死んだ方がいいんじゃないかと思う
携帯で写メを撮る野次馬。
到着した救急隊員も頭部の出血を押さえるのに必死で即運搬していいものか迷っている。
私は事の転末を見届けずにその場を後にした・・・・・
他の野次馬と同じ穴が嫌だったのもあるが、
もし。
もしかしたら、そこに横たわっていたのは自分かもしれない。
そこにあったのは、ただただ恐怖だったのかもしれない。